息子が樹海で保護された日①
昨年の晩夏。
夕方。 自宅の電話のベルが鳴りました。
電話に出た夫の様子がおかしい事に、夕飯の支度を始めようと
していた私は、すぐに気が付きました。
「山梨・・?!息子・・??保護・・?警察・・・?」
夫は何かをメモして「すぐに向かいます」とだけ言って
電話を切りました。
「大変だぞっ!!太郎が樹海で保護されたらしい・・」
えっ !?何 ?? 何かの間違いでは?? 驚いた私は、
夫に聞き返しましたが、夫はもう、出かける準備をしています。
「免許証で本人確認されているから間違いない。樹海に入ろうとしている
所を保護されたって」
話を聞くと、息子は ”自ら命を絶とう” としていたようです…
私は、まだ半信半疑でしたが、一人で出かけようとしていた夫に、
「私も行くから!」と言い、服だけ着替えてすぐに出発しました。
山梨に向かう途中。電車の中で、
待っているのは本当に太郎なの?
太郎だとしたら、なぜ樹海なんかに行ったの?
”命を絶つ”って、どういう事? 何があったの!?
揺れる電車に身をまかせ、考えても考えても、わからない答えに
ただ呆然とするのでした・・・