カナリアダイアリー「からの巣症候群」

2人の子供が巣立ちました。子離れがつらいです・・

「ネルとブルーと僕」②

 

snowtime.hatenablog.com

 息子の部屋からでてきた、高校時代の作文(実話)

についての内容です。”猫好きな方”に読んで頂けたら嬉しいです。

↓ 昨日のつづきです

 f:id:snowtime:20210222131112j:plain

「ネルとブルーと僕」  その

 いつもの学校からの帰り道、うす暗くなったその時間、資材置き場の辺りが

騒がしくなっていた。数人の大人が懐中電灯で子猫達を照らしながら何かを話し

合っていた。僕は子猫達の無事を祈りながらその場を通り過ぎようとした時、

その様子を遠くから見ているネルの存在に気がついた。ネルも僕に気づき、急ぎ足で

僕のところへやって来ると僕を見上げ「助けて」と言うようにニャンと鳴いた。

 早朝、昨夜の子猫達のことが気になり、僕は資材置き場へと向かった。まだ誰もいない

朝もやの中を一匹の猫がこちらに向かって歩いてきた。ネルだった。口に子猫を一匹

くわえている。思わず僕は「ネル」と声をかけるとネルはチラッと僕を見て細い路地へと

姿を消した。資材置き場にはもう、一匹の子猫も残っていなかった。

 それからも毎朝ネルはデッキに現れ、僕から朝食を受け取ると子猫の世話をしている

ようだった。野良猫であるネルは決して僕になつかなかった。エサをもらう時でさえ僕の

手の届く範囲には近付いてこなかった。ただ一言「ニャン」と小さな声を出す。新しい

ネル親子の住みかはわからないままだった。

 ゴールデンウイークの初日、カーテンを開けた僕は息をのんだ。デッキにネルとオレンジの

毛色をした子猫が並んで僕を見上げていたからだ。あの時の子猫の一匹だ。怖がらせない

ようにそっとデッキに出て、他の子猫を探したが来ているのはこの子だけだった。ネルの

後ろから僕の様子をジッとうかがっている。その小さな瞳は美しい海のような「ブルー」

だった。

 この日からネルとブルーは一日のほとんどの時間をデッキで過ごすようになった。

ネルがブルーに母乳を与えたり、ブルーがネルの首に手を回して甘えたり、一緒に隣り合わせ

で寝る姿は、どれも幸せそうで僕は二匹を見ると心が温まった。

 梅雨に入るとデッキの小さなベンチの下で二匹は寄りそって雨やどりをしていた。

 初夏のおとずれを感じさせる頃、デッキにいたカマキリをネルがたたき、頭から

ムシャムシャ食べている姿を僕は偶然目撃した。おとなしいネルが狩りをしている姿は

僕にはショックだったが、ブルーには良い教育となり、それから毎日ブルーは僕の

サンダルを相手に格闘していた。

 二匹は常に寄りそい、ネルの愛情はあふれんばかりだった。時々ネルが一人で出かけて

いる間、僕はこっそりデッキに出てブルーと遊んでいた。ブルーは僕に良くなつき、

うれしそうに足元にすり寄って来る。ある時、急にネルが戻って来て、ブルーと僕が

遊んでいるのを知られた時、僕はネルに引っかかれるのではないかと身構えたけれど、

ネルはちょこんと座ってその様子を黙って許してくれた。   つづく

 snowtime.hatenablog.com

 

 

 ☆10年以上前の出来事です。今は地域猫もいなくなり餌やりはしていません。

 

長くなりました。つづきは、明日でお願いします。

明日で完結します。  

息子は「ネル」との出会いで猫が大好きになりました・・

☆今日も読んでくださった方いらっしゃいましたらポチで教えて下さると

 うれしいです。昨日のポチの方ありがとうございました。

にほんブログ村 主婦日記ブログ 50代主婦へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村