巣立った娘と2人で見た桜
昨年の春。2人でスーパーに行く途中、
「ちょっと寄り道して桜を見よう!」と私は娘に言いました。
長い階段を息を切らしながら昇る途中、「どっちが速いか競争ね!」
と、笑いながら、かけるように上がりました。
階段を上がると、そこは広場になっていて、数本の桜がちょうど
見頃です。私はこの場所の桜が、毎年美しく咲く事を知っていましたが、
娘に見せるのは初めてでした。
「わーっ!!なんてきれいなの〜〜」
娘はポケットからスマホを取り出し、桜の花を撮りだしました。
私も何枚か撮り、娘に「こっちを向いて」と声をかけ、桜の下の笑顔の
娘を収めました。
帰宅すると携帯に、桜を見ている私の横顔が写った写真が
送られてきました。知らないうちに、娘が私の写真を撮ったよう
です。その横顔が自分でも驚くほど、さみしそうで、
”ここに娘と来るのは最後だろう”と予感しているかのようでした。
今年はひとりで行こうかな・・
長くて急な階段を、ゆっくり、ゆっくり踏みしめて・・・