カナリアダイアリー「からの巣症候群」

2人の子供が巣立ちました。子離れがつらいです・・

ノラ猫が教えてくれたこと

私が結婚して間もない頃。

もう30年ちかく前のことなのに、忘れられない猫がいます。

 

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その日私は、出かけようと玄関の扉を閉めると、団地の駐輪場に並んだ

自転車の間から、猫が私を見ていることに気が付きました。

 

真っ白で、一瞬 ”ギクリ”とするほど、やせ細っています。

 

あまりの痩せ具合に、何か食べさせるものはないか?と考え、

昨日焼いた、ししゃもの残りを取りに戻りました。

 

冷蔵庫から、ししゃもの尾をつまんで持ち、猫の近くへと

運びました。猫の鼻先のコンクリートの上に魚を置くと、

近くの草むらから ”サーッ” と1匹の茶色い”子猫”が出てきて、

ししゃもをガツガツ食べ始めました。

私はあっけにとられ、白猫を見ると左右の瞳の色が違う美しい猫でした。

 

白猫は子猫が食事をしている姿を、穏やかに見ています。

白猫は母親だったのです。

 

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時間を気にしながらも母猫のために、もう1度ししゃもを取りに

戻り、再度、白猫の前に置くと、母猫は食べません。

 

すると子猫が最初の魚を食べ終わり、2匹めの魚を食べ始めました。

白猫はその様子を見守っています。

母猫はガリガリの体でお腹がすいている事は明らかなのです。

 

もう、1本乗り遅れたであろう電車の時間が気になり、私はその場を

後にしました。

その時は深くは考えませんでしたが、その後、私が妊娠、子育てを

していく中で、迷いや悩みが生まれたとき 、”ふと” あの白い母猫の姿を

思い出すのです。

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凛とした母親の姿を見せてくれた、あの白猫を・・・

 

 

 

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娘の彼が結婚の申し込みに来た!

2020年 早春。

この日は夫婦そろって、朝からソワソワ。。

娘が駅まで迎えに行き、彼を連れて来るというのです。

初めての来訪で、目的は ”結婚の申し込み”です!

 

駅で良太さんと合流した娘から「今から行くねー」と連絡があってから、

なかなか来ません。

どうしたのか?とインターホンのモニターで外の様子を伺うと

娘が「大丈夫よー!いいから早く〜」と手招きしている様子が写りました。

どうやら家の前にいるものの、良太さんが身だしなみを整えていて

入って来ない様子(笑)

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ようやく入って来たので、先程の様子をモニターしていた事を話すと

良太さんの顔が真っ赤に・・(余計な事を言って!と夫に注意されました)

 

良太さんが「これは地元で有名なチーズ専門店のお菓子です」と

"ガチガチ" になって手土産を渡してくれました。

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その後は私が用意していた”桜茶”を入れ、イチゴと和菓子で

歓談しました。つい、いつもの習慣で "特売のイチゴ” を買ってしまい

口に入れた途端、あまりの酸っぱさに ”ヒェ〜失敗した〜〜”と

心の中で叫びましたが、良太さんは緊張で気がつかない様子。

”ホッ”としました。

 

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硬直し、なかなか ”結婚”を切り出せない良太さんに、

しびれを切らした夫が「今日は何か話があるのでは?」と

水を向けると、良太さんが「花子さんと結婚させて下さい!」と申し込みをし、

夫が「一生、大切にして下さい!」と応え、安堵の空気に包まれました。

 

良太さんは人柄も良く、穏やかな印象で、娘の波長と合っていると

感じました。何より娘を見る、良太さんの眼差しが、とても優しくて

安心しました。

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玄関で見送り、2人が家を出て歩き出す後ろ姿を2階の窓から見ていると

良太さんの「緊張した〜〜!!」とおどけている様子が目に入りました。

そして娘が窓越しの私達をとらえ、「まだ見てる〜〜」と言ったようでした。

良太さんは慌てて姿勢を正し、ペコリとこちらの方へと頭を下げました。

(行きも帰りも気が抜けず、かわいそうな事をしてしまいました)

 

次は花子が良太さんの家に、ご挨拶に行く番です・・

 

 

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 お祝いや晴れやかな日に記憶に残る”桜茶”です

 

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最後の家族旅行

2019年 夏のことでした。

息子が夏季休暇で帰省したので、朝7時出発で埼玉県の川越に

家族4人で日帰り旅行に出かけました。片道2時間くらいのドライブです。

 

まず娘の希望で、縁結びで有名な氷川神社に行き、”鯛みくじ”という、

おみくじをしました。魚釣りのように竿で魚の形をしたおみくじを

釣り上げるのです。しっぽに、おみくじが挟まっていました。

娘は恋愛運が気になったようです・・

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神社では、もう1つ。「和紙で作った人形(ヒトガタ)を

境内の小川に流してお清めをする」というものがありました。

50代。朝起きると体のあちこちが痛い私。

私は、こちらを熱心にさせて頂きました。 

 

その後は、4人で川越の「時の鐘」「菓子屋横丁」を

散策し、うな重を食べました。

 

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息子と娘が私達の前を歩きながら、2人で笑いあっている姿を見て、

とても幸せな気持ちになりました。

 

息子はひとり暮らしを経験したせいか、家族を大切にしてくれます。

「これ流行っているんだよ!」とレモネードをごちそうしてくれました。

あらかじめ、ネットでお店を調べていたようです。

 

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今、思うと、娘が嫁いだので、これが最後の家族旅行となりました。

青空の下、4人で歩いたあの日の足跡は、今も残っているでしょうか・・

 

 

 

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娘のエンゲージリング

プロポーズを受けた娘は

「あー!わたし婚活しないでいいんだーー♪」

と安心したように喜んでいました。

就活に苦戦したので、まるで ”婚活”を ”就活”の続きのように

考えていたようです・・

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エンゲージリングは婚約者の良太さんが、あらかじめジュエリーブティックに

出向き、ダイヤのグレードとセッティングを選び、お店から仮のリングを

預かりプロポーズしたと娘から聞きました。

 

後日、ブティックに2人で行き、サイズ合わせをしたようですが、

ブティックの接客はもちろん、雰囲気がとても素敵で、良い思い出に

なったようです。

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買い物って優しい接客を受けると、購入した品物を使う時にも

あたたかい気分になりますね・・

 

2人は結婚指輪も同じブティックで選ぶことにしていました。

 

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リングが出来上がり、嬉しそうに、誇らしそうに、薬指を見つめる娘の姿を

キッチンで料理しながら、私は ”そっ”と見守るのでした・・

 

   

 

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”テニスひじ”?になってから15日め

先日、朝、起きたら右のひじの外側にズキンと痛みが走りました。

歯みがきを始めると痛いです。やはり気のせいではありません。

ガックリきました・・

最近、目覚めると体のどこかが痛い、という事が増えてきました。

何時間も同じ姿勢で寝ていることが原因だと思います。

 

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症状を検索してみると、私はテニスはやらないけれど "テニス肘"

という病名のようです。物を持ち上げたり、手をひねったりする動作に

よって引き起こされるようです。

横向きに寝ているときに、体重で腕が不自然に圧迫されていたのかも??

 

特に箸を持ってご飯をつかみ、口に運ぶ動作が痛いです。

そのため、最近は左手にフォークを持って食べています。

それと、料理をしている時に菜箸で、かき混ぜる動作もひじにきます。

電動歯ブラシを使ったら、ひじに響くこと、響くこと。

慌てて普通の歯ブラシを取り出しました。

 

痛みがでてから、もう2週間。

早く治ってほしいです・・・

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昨年の春、お嫁に行った娘から「ママげんき〜?」

と久しぶりに電話がありました❤❤❤

本当は、”あっちこっち” 痛いけど、「元気よ〜〜!」と応えました。

娘に心配をかけてはいけません。

 

わたしの好きな言葉は ”自然治癒”です・・・

 

 

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プロポーズされた娘

2020年2月

娘は彼と順調に交際していたようです。

クリスマスディナーや初詣など、その季節のイベントを

一緒に過ごしていました。

 

ある土曜日の夜。

娘から ”荷物が多いから駅へ迎えに来て” とラインがありました。

車に乗り込んだ娘を見ると、花束と紙袋を持っています。

「わたし今日、プロポーズされちゃったー!」

と、弾んだ声で娘が言います。

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デートの終わり、海の見えるレストランで

花束とリングを差し出されプロポーズされたとの事。

 

私は交際から、そろそろ1年たつかな?と思っていたので

心の準備は少しだけありましたが、それでも動揺してしまい

彼が何と言ったのか?娘が何と返事をしたのか?

という大事な部分を聞きそびれてしまいました。

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それより帰宅したら、家にいる夫に何と言おうか?

ハンドルを握りながら、ひたすら考えていました・・

 

どう話しても、大変ショックを受けるであろう夫は

帰宅すると、「グーグー」とベッドで高いびきをかいていて

とりあえず "ホッ"としました・・・

 

 

 

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骨董市から来た怖い人形

それは母が生前、東京に住む友人宅を訪れた帰りのことです。

 

駅へ向かう途中に神社があり、その境内にたくさんの人が出入りして

いました。見ると”骨董市”が開催されていたようです。

 

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母は普段は縁のない、その場所に足を踏み入れ、ぶらぶらと時代物の

品々を見ている途中、いくつかの人形が並んだお店の前で足を止めました。

 

西洋の人形たちです。髪や瞳の色が様々で皆、素敵なドレスを身にまとって

います。湯呑みや皿、着物など日本の品がずらりと並ぶ店の中で、

この人形たちは、ひときわ目を引いたそうです。

 

母は吸い寄せられるように、深紅のワンピースを着た

人形の瞳をのぞき込んでいると、

「その人形なら、勉強させてもらうよ」と初老の店主に声をかけられました。

 

値引きをして頂いても、少し値が張るなと思いながらも、すっかり人形に

魅せられてしまった母は、人形と共に帰宅しました。

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私は実家に行った折に、骨董市での母と人形との出会いの話を聞きました。

確かに、ベルベッドのドレスとお揃いの布の帽子を被り、

あごで”ギュッ”と帽子のひもを締めた姿は愛くるしいと思いました。

 

 

しかし、ある時、私は気が付きました。

 

いつも母の横で微笑んでいた人形が、リビングの出窓に置かれ、

うしろ向きに飾ってあることに。

 

母に尋ねると、言葉を濁して理由を教えてくれません。

そういえば、人形が骨董市に並んでいた経緯を母は店主から

聞いていませんでした。

 

帰り際、ふと人形に目をやると、窓ガラス越しにこちらを

にらみつけているように感じ、背筋が冷たくなりました・・・

 

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その後、急逝した母と、この人形には、何か関係があるのでしょうか?

 

母が亡きあと、あの人形は、あの場所で、次の所有者を

待っているのかもしれません・・・・

 

 

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プロポーズの予感

秋のある日。

「ママ―。大変だよー!わたしプロポーズされちゃうかも!」

と娘が慌てて言いました。

 

まだ、お付き合いを始めて9か月くらいです。

 

「えっ!?どういうことなの??」

と聞くと、デートの度に娘が

「もっと一緒にいたいなー」とか

「ずっと一緒にいられたら、いいのに・・」

などと彼に言い、そのプレッシャーからか?!

良太さんが、「ちゃんとプロポーズを考えているから」

と言ったらしいのです。

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娘は、”夢見る夢子さん”的に、何気なく言っていたようですが、

良太さんは、真面目に考えて下さったようです。。

 

当の娘は、

「現実問題わたしは、入社1年半。仕事だって、

これからだし、料理も家事も覚えてない。無理よーー」

と、及び腰でした。

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私も

「焦らず、せめて1年くらいは、お付き合いしてから決めたら・・」

と言いましたが、娘はそれどころではないようで、

 

「何とかして良太さんがプロポーズする前に、”まだ早い”ってこと伝えなくちゃ・・」

と焦っていました・・・

 

 

 

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息子の転勤

3月。

弾んだ声で息子から電話がありました。

 

「4月から東京勤務になったよ!!」

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何とか福岡でのパワハラの環境から息子を脱出させたいと

毎日、神棚に祈っていたので、私も心底 "ホッ"としました。

嬉しくて、引越の日程など聞くと、

 

「家には帰らないから。会社の近くでマンション借りるから!」

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どうやら実家に帰らず、東京でひとり暮らしをするようでした。

私は東京勤務になれば、実家に帰ってくるものだとばかり思っていたので、

とても、とても落胆しました。

 

”男の子は、一度家を出ると戻らない”

と、聞きますが、本当だったのですね・・

 

このあとも、さりげなく、食事や洗濯など、実家の良さをアピールして

みましたが、息子の意志は固いのでした・・・・

 

「残念、無念です・・・・・」

 

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 息子の布団はセットの物を買いました 

 

 

 

娘の外泊

この頃の娘は、平日は仕事。土曜日は1日デート。

日曜日は家にいる。

というスタイルで生活をしていました。

 

デートには、毎回、朝10時に出かけ21時頃

帰宅していました。

彼の家と距離があり、片道1時間半は要していました。

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ある日、帰宅すると

「今度、お泊り旅行に行っていい?私の誕生日に

良太さんが、旅行に連れて行ってくれるんだって!」

 

この時、娘は23歳。

「えーっ!ちょっと考えてみるわー」

と言い、次の日ネットで ”娘の外泊” について

調べてみました。

「外泊なんてとんでもない」と言う意見と

「社会人なら干渉しすぎてはダメ」と言う意見。

家庭によって考え方は、それぞれなので迷います・・

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数日、私が返事を濁していると、娘が会社の社内報を

差し出しました。

 

「わたしの彼、良太さん。ここに載っているから見てー」

先輩社員の仕事紹介欄として、顔写真と仕事の内容を自ら

説明する彼の様子が書かれていました。

真面目そうで、好印象な方でした。

 

それを読み、私は娘に旅行の許可をだしましたが、

なぜか?夫には

「女子旅に出かけたよー!」

と、真実ではないことを言ってしまったのでした・・

 

  

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娘が作る花見弁当

2019年  ☆この時コロナは存在していませんでした。

 

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春。2月にお付き合いを始めた彼と娘は、週末にお花見を

するようでした。

「ママ、今度の日曜日。お花見にお弁当作っていくから

この材料買っておいて」とメモを渡されました。

 

あ〜〜私も若い頃、お弁当を持って夫と

ピクニックをした事があったなーと懐かしく感じました。

今まで料理をした事がない娘。

 

「私が作って、花子はお弁当箱に詰めるだけでしょー?」

と言うと

「なぜ―?私が早起きして自分で作るわよ」

と応えました。

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そうそう私の時は自分で作らず、母に全部料理をしてもらい、

私は重箱に詰めただけでした。

母には彼がいることを秘密にしていたので、女友達3人で食べると

偽ると大量のおかずといなり寿司が出来上がっていました。

 

夫は私の手料理を残してはいけないと、目を白黒させながら

無理やり押し込んでいました。

その姿を、今、思い出すと笑ってしまいます。

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娘は宣言通り早起きをして、唐揚げを揚げたり

卵焼きを作ったり、私に教わりながら一生懸命でした。

 

出来上がったお弁当を誇らしそうに包む娘の瞳は輝き、

幸せそうでした・・

 

 

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「ネルとブルーと僕」③

息子の部屋からでてきた、高校時代の作文(実話)の最終日です。

”猫好きな方”に読んで頂けたら嬉しいです。

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↓ 昨日のつづきです。

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「ネルとブルーと僕」 その

 

  ある夜、ブルーの声がするのでカーテンをチラッと開けて見てみると、あの大きな

黒猫とネルが寄り添って、ピョンピョンはしゃいでいるブルーを仲良く見つめていた。

この時僕は初めて父親の存在を知った。残りの子猫達はどうしているのだろう。

 涼しい風が吹きはじめ、秋の気配を感じはじめた頃、真夜中に僕は猫の鳴き声で

目が覚めた。つらそうな何かを訴えるような声。ネルだった。すでにこの頃には

僕は近所にいる数種類の猫を鳴き声だけで判別できるようになっていた。

 普段めったに鳴く事のないネルが、どうしたのだろう。声は風に乗って遠くから

響いてくる。

明朝、僕はすぐデッキを確認した。いつもいるはずの二匹の姿が無い。急いで近所を

探しまわったが二匹を見つけることはできなかった。

  何日か過ぎて学校からの帰り道、雨でずぶぬれになりながら歩いているネルを

見つけた。良かった。無事だったのだ。ネルは古びたアパートの前に来ると

ひとつの部屋のドアの前で腰を下ろし、「ミャア、ミャア」と鳴きだした。

いつもブルーを呼ぶときの優しい鳴き方だった。僕はブルーはこの部屋の住人に

飼われたのかなと、ふと思った。

 しばらくして、ネルはデッキに帰って来た。その姿はやせこけて、まるで

違う猫のようだった。ブルーと並んでよく座っていたベンチの下で一人、

目を閉じている。僕はネルの好きなハムをあげてみたけれど食べようとしない。

その姿はブルーとの楽しかった日々を思い出しているかのようだった。夏の

打ち上げ花火の音に驚いてふるえていたブルー。好奇心いっぱいで輝く青い瞳を

のぞかせていたブルー。ネルのそばで安心して寝ていたブルー。僕の足元に

すり寄ってきたときの、やわらかい感触。二匹が寝ていると、太陽光線で

ネルが銀色に輝き、ブルーが金色に染まり本当にきれいだった。

 あれから随分長い時間が過ぎたけれどブルーの姿は、もう見かけない。

ネルはいつもの場所でブルーの帰りを待っているようだ。僕も青くて

高い空を見上げながら、ブルーの帰りを願っている。      おわり

 

    ☆10年以上前の出来事です。今は地域猫もいなくなり餌やりはしていません。

 

 3日間、お読み下さった方、本当にありがとうございました。

 

一度は巣立った息子が転勤で再び、この部屋に帰ってくる!

という期待を胸に息子の部屋の掃除をしていました。

息子が書いた猫の作文の”ネル”のように、私も子供の帰りを

待ち望んでいます・・・

 

猫の話 3話読んで下った方いらっしゃいましたらポチで教えて頂けると嬉しいです 

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「ネルとブルーと僕」②

 

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 息子の部屋からでてきた、高校時代の作文(実話)

についての内容です。”猫好きな方”に読んで頂けたら嬉しいです。

↓ 昨日のつづきです

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「ネルとブルーと僕」  その

 いつもの学校からの帰り道、うす暗くなったその時間、資材置き場の辺りが

騒がしくなっていた。数人の大人が懐中電灯で子猫達を照らしながら何かを話し

合っていた。僕は子猫達の無事を祈りながらその場を通り過ぎようとした時、

その様子を遠くから見ているネルの存在に気がついた。ネルも僕に気づき、急ぎ足で

僕のところへやって来ると僕を見上げ「助けて」と言うようにニャンと鳴いた。

 早朝、昨夜の子猫達のことが気になり、僕は資材置き場へと向かった。まだ誰もいない

朝もやの中を一匹の猫がこちらに向かって歩いてきた。ネルだった。口に子猫を一匹

くわえている。思わず僕は「ネル」と声をかけるとネルはチラッと僕を見て細い路地へと

姿を消した。資材置き場にはもう、一匹の子猫も残っていなかった。

 それからも毎朝ネルはデッキに現れ、僕から朝食を受け取ると子猫の世話をしている

ようだった。野良猫であるネルは決して僕になつかなかった。エサをもらう時でさえ僕の

手の届く範囲には近付いてこなかった。ただ一言「ニャン」と小さな声を出す。新しい

ネル親子の住みかはわからないままだった。

 ゴールデンウイークの初日、カーテンを開けた僕は息をのんだ。デッキにネルとオレンジの

毛色をした子猫が並んで僕を見上げていたからだ。あの時の子猫の一匹だ。怖がらせない

ようにそっとデッキに出て、他の子猫を探したが来ているのはこの子だけだった。ネルの

後ろから僕の様子をジッとうかがっている。その小さな瞳は美しい海のような「ブルー」

だった。

 この日からネルとブルーは一日のほとんどの時間をデッキで過ごすようになった。

ネルがブルーに母乳を与えたり、ブルーがネルの首に手を回して甘えたり、一緒に隣り合わせ

で寝る姿は、どれも幸せそうで僕は二匹を見ると心が温まった。

 梅雨に入るとデッキの小さなベンチの下で二匹は寄りそって雨やどりをしていた。

 初夏のおとずれを感じさせる頃、デッキにいたカマキリをネルがたたき、頭から

ムシャムシャ食べている姿を僕は偶然目撃した。おとなしいネルが狩りをしている姿は

僕にはショックだったが、ブルーには良い教育となり、それから毎日ブルーは僕の

サンダルを相手に格闘していた。

 二匹は常に寄りそい、ネルの愛情はあふれんばかりだった。時々ネルが一人で出かけて

いる間、僕はこっそりデッキに出てブルーと遊んでいた。ブルーは僕に良くなつき、

うれしそうに足元にすり寄って来る。ある時、急にネルが戻って来て、ブルーと僕が

遊んでいるのを知られた時、僕はネルに引っかかれるのではないかと身構えたけれど、

ネルはちょこんと座ってその様子を黙って許してくれた。   つづく

 snowtime.hatenablog.com

 

 

 ☆10年以上前の出来事です。今は地域猫もいなくなり餌やりはしていません。

 

長くなりました。つづきは、明日でお願いします。

明日で完結します。  

息子は「ネル」との出会いで猫が大好きになりました・・

☆今日も読んでくださった方いらっしゃいましたらポチで教えて下さると

 うれしいです。昨日のポチの方ありがとうございました。

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「ネルとブルーと僕」①

春が近づき、息子の部屋の片づけを始めました。

転勤が決まれば、実家に戻ってくると思ったからです。

本棚のファイルから高校時代、現代国語の宿題で書いたと思われる、

作文?のようなものが出てきました。

現実に我が家の近くにいた猫ちゃんの話です。

”猫好きな方”に読んで頂けたら嬉しいです・・

 f:id:snowtime:20210222130840j:plain

「ネルとブルーと僕」 その

 初めてネルに会ったのは、冬のとても寒い朝。いつものように僕は起き、ウッドデッキを

眺めていると、ひとつの植木鉢の中に見慣れない物を見つけた。近づいて確かめると、

白でも黒でも灰色でもない、その三色を合わせたような猫だった。最初、僕は死んでいる

のかとドキッとしたけれど、お腹のあたりが一定のリズムで動いているのを発見し、安心

した。そしてその猫は眠そうな顔で僕を見上げ、何事もなかったかのように再び眠ったの

だった。

 それからその猫は、毎日ウッドデッキにいた。植木鉢がよほど気に入ったらしく、たいがい

丸くなってその中で寝ていた。寝てばかりいるから僕はその猫を「ネル」と名付けた。

 冬本番になり、雪がチラつきだしたある日、ネルも寒いだろうと、僕は自分の小さく

なったフリースのトレーナーをハサミで丸く切り取り、ネルのいない間に植木鉢に敷いて

やった。戻ってきたネルは鉢の中を見て一瞬たじろぎ、おそるおそる腰を下ろした。そして

満足そうに眠り込んだ。

 寒くて長い冬の間中、ネルはエサを探しに行く以外、ほとんど植木鉢の中で寝ていた。

時々、大きな黒猫や意地悪そうな三毛猫がやって来ると、ネルはあわてて逃げ出し、

一時間もするとまた戻って来るのだった。ネルは他の猫に対していつもおびえているよう

だった。

 春になり、暖かくなるとネルは植木鉢から出て、ウッドデッキの上で寝るようになった。

僕がデッキに出るとネルは警戒し、二、三歩後ろに下がる。それ以上近づくとサッと姿を

消してしまうのだった。ネルはオスなのか?メスなのか?若いのか?年とっているのか?

全くわからないまま時が過ぎた。

 新学期になり、僕は新しい環境になじむことに集中していた。朝デッキにネルの姿が

見えなくなっても、さほど気にもとめなかった。

 ある朝、学校へ向かう道の途中で子猫の鳴き声を聞いた。声のする方を見ると、建築

会社の資材置き場の木の間から子猫が五匹、顔を出していた。毛が白いのと黒いの、

茶色と灰色、そして最後の一匹はうすいオレンジ色だった。そのかわいい姿に足を止め、

くぎづけになっている僕の横を一匹の猫が子猫の方へと近づいていった。ネルだった。

ネルが母親になっていたのだった。

 それから僕は毎朝、ウッドデッキにネルの姿を見つけた時は、朝食からウインナーや

魚を取り分け、こっそりネルに与えてやった。ネルは決してここで食べず、口にくわえて

子猫達のところへ運んでいるようだった。        つづく

 

snowtime.hatenablog.com

  

 ☆10年以上前の出来事です。今は地域猫もいなくなり餌やりはしていません。

 

思っていたより長くなってしまいました。

つづきは明日にさせて頂きます・・

☆猫の話 読んで下さった方はポチで教えて下さると嬉しいです

      

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巣立った娘と2人で見た桜

昨年の春。2人でスーパーに行く途中、

「ちょっと寄り道して桜を見よう!」と私は娘に言いました。

 

長い階段を息を切らしながら昇る途中、「どっちが速いか競争ね!」

と、笑いながら、かけるように上がりました。

 

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階段を上がると、そこは広場になっていて、数本の桜がちょうど

見頃です。私はこの場所の桜が、毎年美しく咲く事を知っていましたが、

娘に見せるのは初めてでした。

 

「わーっ!!なんてきれいなの〜〜」

娘はポケットからスマホを取り出し、桜の花を撮りだしました。

私も何枚か撮り、娘に「こっちを向いて」と声をかけ、桜の下の笑顔の

娘を収めました。

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帰宅すると携帯に、桜を見ている私の横顔が写った写真が

送られてきました。知らないうちに、娘が私の写真を撮ったよう

です。その横顔が自分でも驚くほど、さみしそうで、

”ここに娘と来るのは最後だろう”と予感しているかのようでした。

 

 

今年はひとりで行こうかな・・

長くて急な階段を、ゆっくり、ゆっくり踏みしめて・・・

 

 

 

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